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地域の産業を支えることが綿半グループの存在意義
2024年、綿半ホールディングスは、上場から10年を迎えました。この間、M&Aを積極的に進め、業容は大きく変わりました。これまでの施策の向かう先はどこにあるのか、そして我々が目指すグループの存在意義とは何か、社長に直接聞いてみました。
───地域産業創出の取組みについて教えてください。
野原 現在、小売事業は、東京から名古屋に通じる中央道と、長野までの長野道に沿って、ホームセンターからスーパーセンター、食品スーパー、ドラッグストア、ペットショップ併設店舗と業態は拡大しています。現在、小売事業は、当社グループの売上高の2/3近くを占めるまでに成長しています。長野県を中心とした地域住民の生活を豊かにするという意味で、小売事業は当社の柱となっています。特に当社が力を入れているのが、独自に商品を調達する仕入ルートの開拓と、オリジナル商品の開発です。商品に独自性を持たせた高品質の商品を、値頃感のある価格で提案しています。お客さまの期待に応える商品を開発することで、信頼関係の構築に寄与しています。一方、鮮魚売場では、日本各地の漁港からの直接仕入や、漁船で獲れた魚を丸ごと買付ける「一船買い」で調達した鮮魚を、低価格で販売する試みを続けています。「一船買い」は、傷があったり、市場ではなかなか流通しない希少な魚を店頭に並べることで、貴重な水産資源を余すことなくお客さまに届けることができます。全国の良いものを「地域」へ、「地域」の良いものを全国へ展開する流通網の構築を進めています。
───2年前から開始した養豚事業の進捗はいかがでしょうか。
野原 2022年に中村ファーム(現・綿半ファーム)を子会社化して養豚事業に参入し、店舗に供給を始めています。飼料には小売店舗や食品工場で出た食材の残渣を活用し、糞は堆肥化して飼料米の肥料に利用したりするなど、環境に配慮した循環型施設になっています。2024年4月にはEco-Pork社と資本業務提携を締結し、豚舎をICT化して、温湿度や給水設備、豚の様子を遠隔でモニタリングし、省力化、省人化を実現しています。将来的には、年間で6,000頭を出荷する計画です。2024年4月には、綿半ファームが長野県筑北村で乳牛を飼育していた安坂牧場の事業を継承しました。現在は肉牛の飼育を進めており、今後は店舗への出荷を視野に入れています。
───木材関係の動きが目立ってきていると思います。この部分について、詳しくお聞かせください。
野原 当社の建設事業は、主に屋根のリニューアル工事・外装工事、自走式立体駐車場で国内でトップシェアを誇っています。それに加えて、林業を支える一環として、当社が力を入れているのが木造建築分野です。実は木造建築分野に本格的に参入したのは、2019年のサイエンスホームの子会社化からと日が浅いのですが、2021年には夢ハウスを子会社化するなど、木材を使った住宅建築の事業を本格化させています。2024年4月には、木造住宅の柱や梁、床、壁材等の製造販売を行う征矢野建材(現・綿半建材)を子会社化し、木材の製造機能を持つことになりました。9月には、須江林産を子会社化しました。同社は、森林への豊富な知識・ノウハウを有し、伐採・植林・下刈り・間伐などの林業経営を得意としています。同社のグループ入りで、素材丸太の生産から加工・施工・販売まで、木材に関わるすべてを、綿半グループで構築できるようになりました。森づくりへの参入で、「伐る・使う・植える・育てる」の循環型林業を推進し、長野県林業の発展と木造建築分野の拡大を目指していきます。
───綿半建材や須江林産が入口、夢ハウスや綿半の店舗が出口ということですね。
野原 そういうことです。当社は業種・業態を超えた幅広い事業を進めていますが、綿半自体が6次産業を目指しているのではなく、長野県の6次産業のシステムを構築するために事業を行っている、という方が近いでしょう。ただ、そのシステムを構築するためにはノウハウが必要なので、綿半ファームや須江林産など地場の一次産業とともに作り上げている最中です。これは綿半の創業時に綿商いをやっていたことに通じます。綿屋半三郎は「地域に産業を興し、地域住民の生活を豊かにする」という意志のもと綿商いをやっていたと伝えられています。現在の綿半は創業の理念に原点回帰し、長野県の産業創出・育成を実施しています。綿半建材では、製材過程で発生する端材等を燃料用チップに加工し、発電所へ供給する木質バイオマスチップ事業も行っているため、当社も、「信州F・POWERプロジェクト」に必要な燃料用チップの生産に努めていきたいと考えています。
───これまで説明いただいた事業と、貿易事業とのシナジーはどこにあるのでしょうか。
野原 農業と林業の産業育成を支える事業として核になるのが、貿易事業であると考えています。これまでは、商品の調達ルートの開拓で、輸入が中心でした。具体的には、こだわりの鶏肉・豚肉を直輸入して、小売事業との連携を深めています。また、サボテン由来の赤色着色料を調達し、オリジナル商品の「明太子」や、グループ会社の胡蝶庵が製造する「桜生大福」等に使用しています。今後はこの貿易事業において、国内および長野県の生産者による商品を海外へ輸出することで、販路の拡大を図ることも視野に入れています。
───点から線へ、線から面へ繋いでいく綿半グループの将来像はどのようなものでしょうか。
野原 グループ経営理念の「合才の精神」=「力を合わせ、分かち合い、響き合う」のもと、2022年にグループミッションを「地域に寄り添い地域と共に新しい価値を創造する」と据えて、新生・綿半グループとしてスタートしました。100年後に綿半がどのような姿になっているのか、私にも分かりません。むしろ、それを決めつけずに、地域の産業育成に貢献する事業を続けている会社でありたいと思っています。綿半グループは、【1次産業】で生産拡大に貢献し、【2次産業】で商品・製品に加工し、【3次産業】として販売する、【6次産業】として地域に貢献していきます。これまでの取組みが、「点」となって自立し、それが「線」となって繋がり、線が濃くなることでグローバル経済圏に向かって「面」となって拡がる姿をイメージしています。そのために、小売事業、建設事業、貿易事業が循環する、成長戦略を描いていきたいと思っています。
───最後に株主の皆さまへ一言お願いします。
野原 おかげさまで今までの施策が功を奏し、中間・通期ともに業績予想を上方修正しました。今後も、株主の皆さまや地域のお客さまに、綿半グループを身近に感じていただける活動を行いながら、持続的な成長を目指してまいります。また、配当については「安定配当」を掲げており、2025年3月期の配当は1円増配の24円を予定しております。株主の皆さまには、引続き、末長く応援いただければ幸いです。